一昨日と昨日、沖縄で開催された「日本保育協会九州地区 所長・主任保育士研究大会」に参加してきた。「子ども子育て新システム」が主なテーマであった。
厚労省の保育課長の説明やパネルディスカッションがあったが、「子ども子育て家庭を応援する社会の実現に向けての制度構築」というよりも、問題点山積の制度あることの方が明らかになった。
来賓祝辞をした自民党衆議院議員野田毅さんの
「育児の第一義的責任は家庭にある」ではなく、「子供を社会で育てる」という理念そのものに問題があるという挨拶が、この厚労省が進めようとしている新制度の本質を突いている。
厚労省は「すべての子供の最善の利益」を理念とするために、本来ならば、保育に欠けないような全ての家庭にまで支援が必要になり、いわゆる幼保一体化した「こども園」以外の形態がいくつも出来てしまった。
そのために毎年1兆円もの財源が必要となり、しかも、それが本来の保育所・幼稚園の質・量の向上に繋がるかどうかも不明確になっている。
企業の参入も認めているが、ほとんど人件費が占める保育所・幼稚園でどのようなことが起きるかも目に見えているし、保育時間を4時間認定とし、給付も4時間分とするならば、企業ならずとも経営が成り立たない。4時間認定と8時間認定の児童が混在すれば、保育・教育上も問題が生じてくる。
「子ども子育て新システム」には、毎年1兆円のお金が必要になると厚労省は試算しているが、説明に来た保育課長は1兆円の内訳も示さなかった。国全体が莫大な借金を抱えているのに、必ずしも保育現場の改善につながらない制度を導入するのは、消費税アップを機に省益の拡大と狙っているとしか思えない。しかも、今でも問題がある家庭の育児機能を完全に破壊しようとしている。そうなれば、日本社会そのものがますます衰退していくだろう。
当てにしている消費税増税もハッキリしない中、つまり財源の裏づけもないまま、机上の空論が一人歩きしている。制度は一旦導入すれば無くすことは難しい。野田毅さんも、何度読んでもこの制度は理解でいないと言っていた。この制度は最初のボタンを掛け違えており、原点に戻って考え直した方が良い。